耳鳴りが起こるのは、
人間が音を聞く仕組みと関係しています。
というのも耳鳴りを起こす患者さんのうち、
9割以上に音が聞こえづらくなる難聴がある事が
分かっているからなんです。
つまり耳鳴りの患者さんの多くは
音を聞く仕組みに異常があるという事になります。
そこで、まず音が聴こえる耳の仕組みについて
勉強していきましょう。
耳の仕組み
音は、外耳、中耳、内耳、蝸牛神経、大脳が
連携することで聞こえます。
音の聴こえ方
音は、空気の振動として耳に届き
①鼓膜が振動しその振動が
②耳小骨(じしょうこつ)という骨で増幅され
耳の奥に伝わっていきます。
そして届いた振動が
③蝸牛(かぎゅう)という器官で電気信号に変えられ
その電気信号を受け取った脳が音として認識します。
少し難しいですが、人はこのようにして音を認識しています。
つまり、聞こえにくい音があると
脳が聞こえない事を補うために電気信号を強化します。
すると音の刺激がないにもかかわらず、
耳や頭の中で「音が鳴っている」と勘違いしてしまいます。
つまり耳鳴りは聞こえなくなった状態を
補おうとする脳の反応と言えます。
難聴の種類
伝音性難聴
外耳や中耳が正常に機能しなくなり起こる難聴を
伝音性難聴と呼びます。
音を聞く神経に異常があるのではなく、
*外耳道が塞がってしまっている
*鼓膜が傷ついている
*中耳炎を起こしている
といった事が原因で
中耳や外耳の機能が低下している病気になります。
これらの疾患の治療を行う事で
聴力が改善する場合が多いと言われています。
感音性難聴
内耳や蝸牛神経、脳の異常によって起こる難聴を
感音性難聴と呼びます。
*突発性難聴
*騒音性難聴
*加齢性難聴
*先天性難聴
などがあります。
感音性難聴では中度から重度の難聴となる場合が多く
薬物治療や補聴器の使用が主な治療になりますが
効果がない時は人工内耳などを使用する場合もあります。
このように耳鳴りの原因は難聴という考え方が
主流になりつつありますが、
耳鳴りという症状を完全に消したりするような
薬剤や治療法はありません。
しかし、耳鳴りに関係している難聴疾患が
治療可能であれば
それに対する治療を行う事で
耳鳴りを改善する事は可能と言えます。
さらに、自分で気を付ける事で
耳鳴りを予防することもできます。
耳鳴りの予防策
日常生活で耳鳴りに対して、対処または改善できることに
以下のようなものがあります。
できることから取り入れていきましょう。
休息をとる
自律神経を整える事で耳鳴りを緩和することが出来ます。
つまり、
*十分な睡眠をとる
*ゆっくり過ごす
*規則正しい生活をする
といった事が大切になります。
また良質な睡眠を取るためにも、
軽い運動や入浴の際に湯船につかって疲れを取る
といった事も大切になります。
体の緊張をほぐす
体が緊張状態になると自律神経が乱れてしまい、
血管が収縮し血液が体に十分いきわたらなくなります。
緊張をほぐすためにストレッチなどを行いましょう。
ストレスを発散する
現代社会ではストレスも多くあります。
楽しめる趣味やスポーツなどをして
ストレスを発散することも大切になります。
耳鳴りをあまり気にしない
慢性的な耳鳴りを消失させることは
極めて困難な状態ではありますが、
実際には慢性の耳鳴りを気にすることなく
普通に生活を送っている人が多くいます。
苦痛に思っている人は、耳鳴りを気にしすぎていて、
それがストレスとなり、イライラや不安を感じたり、
不眠に悩まされたりしているようです。
まとめ
耳鳴りで困っている方にとっては
本当につらく不愉快なものかと思います。
人によって耐えられる人もいれば、
耐えられず大きなストレスになる方もいます。
毎日をより快適に過ごすためには、
耳鳴りが鳴っていてもそれを気にせず
普通に生活が送れる状態になることです。
そのためには耳鳴りという症状を理解し
“耳鳴りが消えてほしい”という考えを切り替えて、
ある程度受け入れうまく付き合っていく方法を
身につけることが何よりも大切なことかと思います。